2016/11/14 18:08

FELTとTSUBAKIは私たちオルンにとって初めての「巻き物」です。

思い出の沢山詰まったFELTとTSUBAKIがどうやって誕生したのか、ここでお話ししたいと思います。
ちょっと長いですけど、よかったら読んで下さい。

まずはヨシヒロ(オルン夫)のサンプル作りから始りました。

どういう「形」がいいのか?
その形は、これからから始まるオルンの物語にとってふさわしく、
私たち自身を象徴するようなものがいいと思いました。

そしていつも意識している二つの言葉にたどり着きました。
一つは、魅力的な職住一体という「循環」のイメージ。
もう一つは、「シャトル織機でなければ作れない」もの。

頭のなかでさまざまなイメージが交錯しながら、ぼんやりと「形状」が浮かんできました。

シャトル織機では、シャトルの中の一本のヨコ糸が途切れずに織られていきます。
もしタテ糸もつながることができれば、タテ糸もヨコ糸もループし、完全な循環が出来上がります。
「これって素敵じゃないか!」
そこで織物の始まりと終わりのタテ糸を結んでフリンジにしようと決めました。

そして両端も「耳」とアクセントとなる「フリンジ」を作りながら
織り進めていったら面白いのでは?と考え、織り場に向かいました。

何色か用意したウール糸の中で組合せを決め、
それぞれの色の分量は織りながら様子を見て決めようと。

即興で作ったサンプルを元に
今度はシノさん(オルン妻)が配色やバランスを整理します。

オルン商品のカラーデザインはシノさんが主に担当しています。
ヨシヒロも一緒に考えますが、シノさんの意見を優先させていきます。
お互いの意見(ダメだしも含め)はどんどん出していきますが、
出来る限りシノさんの色の感覚を大事にしているのです。
この仕事の進め方は、帯のデザインの作業を何年もやっていくうちに確立していきました。

こうしてファーストサンプルが完成しました。

今度は織物の糸をリラックスさせるために水を通します。
ただ洗うだけではなく、肌触りをぐっとよくさせるために特殊な柔軟加工をします。
依頼するのは車で5分くらいのところにある染色・整理業の立派な工場。
こちらには以前、工場見学でお邪魔させていただきました。
そこで私たちは感動する技術に出会ったのです。
「ナノレベル」まで柔軟成分が浸透し、
かなりの回数を洗濯してもその効果はほとんど落ちない(!)というものでした。

依頼してから数日後、担当のKさんから電話があり、出来上がりを確認するため車で向かいました。
Kさんは「出来上がったんですけどね…、これなんですよ…。」と、
テーブルに加工済みのネックウォーマーを置きました。
私たちが織った織物からは想像もつかない不思議なものがそこにありました。
サイズは小さくなり、全体にモコモコしていてフェルトのようです。

こんなのになっちゃって、と申し訳なさそうにしているKさん。
そこで、ヨシヒロは思っていることを口にしてみました。
「でもコレ、かわいくないですか?」
「私もそう思う!」とシノさん。
するとKさんも「実はオレもそう思ってるんですよ!」。

実はKさん、かつては洋服屋のオーナーで、今でもアメカジを着こなすナイスミドル。
そこからは、首に巻く方法やら、こんな服に似合うやら、の着こなし談義がはじまりました。
女性スタッフのSさんも一緒に全員で試着してみると、年齢や性別に関係なく似合うことが分かりました。

「じゃあ、これは偶然からうまれたネックウォーマーとしてOKにしましょう!
 それでKさん、もうひとつお願いがあるんですけど。
 元の織物に近い状態で仕上がる柔軟方法って他にありますか?」
Kさんはすこし考えながら
「じゃあ今度は椿油をベースにしたものがいいんじゃないかな。」
「椿油ってあのお相撲さんの髪のあれですか?」
「もちろんベトッとなってるわけではなく(笑)、あくまで椿油を由来とする成分という意味ですよ。
 これも新しい技術なんです。」

数日後、いつもの打合せテーブルにやってきたKさんは自信ありそうな表情です。
Kさんが手に持っていた袋から取り出したネックウォーマーは、
まさに私たちが「こうなればいいな」と想像していたそのものでした!
優しくて、楽しくて、肌触りが良くて、軽くて、暖かい。

出来上がった2種類のネックウォーマーをみんなで手に取り、
鏡の前で試着したり、巻き方を話し合ったりと再び盛り上がりました。

旧式のシャトル織機でなければ織れない織物を、最新の加工技術で仕上げる。
この織物産地でなければ決して生まれることのなかった商品です。


こうして、1つの織物から2タイプのネックウォーマーが生まれました。
偶然から生まれ、アートな感覚の「FELT(フェルト)」。
織物らしさがあり、着る人を選ばない「TSUBAKI(ツバキ)」。



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